岡本綺堂生誕140年
青蛙堂鬼談『笛塚』ひとり語り
根津・ギャラリー藍染 #4
尾張連浜主…おわりのむらじはまぬし…(733‐846?)は、
我が国の雅楽の発展において大変重要な人物で、
笛も舞も日本における始祖とされる。
113歳にして、天皇の御前で
「和風長寿楽(わふうちょうじゅらく)」(「春鶯囀(しゅんのうでん)」とも言われる)を披露したという
驚きの伝承を残す。
起居することが困難なほど腰が曲がっていたが、
装束をまとい、楽の音が流れると
少年のように舞ったと伝えられる。
笛や舞に長けていた彼は、
演奏だけでなく作曲・作舞なども行い、
平安期の楽制改革にも大きく貢献。
雅楽をとりまく多くの問題と積極的にかかわりながら、
如何に伝承していくか深く追求し、
遣唐使として唐にも渡ったという。
「五重記」は、平安時代の笛の書であり、
本邦最古の楽書としても有名。
笛の技術を、
毛・皮・肉・骨・髄の五段階に分けて解説し、
楽が身体に沁みわたっていくことを
疑似的に表現したもので、
多くの意味が込められている。